【1月22日(金)まで】妊娠・子育て情報をやさしい日本語でメールで届けるクラウドファウンディング
みなさん、こんばんは。
やさしいコミュニケーション協会の黒田友子です。
今日は、現在プロジェクトメンバーとして参加しているクラウドファウンディングについてご紹介いたします。
【きずなメール】安心を言葉にのせ孤育てを防ぐセーフティネット強化を
\クリックするとクラウドファウンディングのページが開きます/
特定非営利活動法人きずなメール・プロジェクトさんが提供している、「きずなメール」を在留外国人など”やさしい日本語”を必要とする妊婦さん、お母さん、お父さん、その周辺の方々に妊娠・子育て情報を534通のメールに乗せて届けるサービスを提供するためのクラウドファウンディングです。
「きずなメール」というサービスは、”孤育て”という孤立や孤独な子育てを防ぎ、虐待などでなくなる赤ちゃんを1人でも少なくすること。そして、お母さんを助けるためのメールサービスです。
当協会の理事である六車もまた、去年の4月に出産し、「きずなメール」に励ましてもらっているお母さんの一人です。
彼女は、このコロナ禍での妊娠・出産・子育てを実際に体験し、「今妊娠・出産を控えている人や子育てをしているお母さんたちは、これまで以上に、不安や孤独を感じやすい環境に置かれていると思う」と私に話してくれました。
(上の画像をクリックすると、六車がコメントしたページが開きます)
彼女もこのコロナ禍で、夫が立ち会うこともなく、一人きりで出産しました。応援して欲しい人がそばにいない寂しさや心細さは私には想像することができませんが、不安だったに違いありません。
先日開催したおしゃべりナイトの参加者から、「帰国できない外国人の妊婦さんが増えている」というお話を聞きました。
初めての出産を日本で迎える人、初めての出産を一人きりで迎える人、母国の母に直接育児のあれこれを教えてもらえる機会を失い、夫婦だけで子育てを始める人もいることでしょう。
本来だったら、故郷で里帰り出産をするように、帰国して母国で出産する人が多いそうなのですが、昨年は帰国が叶わず日本で妊娠・出産・子育てをする事になる外国人は少なくないようです。
やさしい日本語は、言葉の壁を乗り越えるための1つの方法
外国人には3つの壁があると言われています。
- 言葉の壁
- 文化の壁
- 制度の壁
妊娠や子育てについてもこの3つの壁を感じる妊婦さん、ご夫婦がいらっしゃると思います。
例えば、
妊娠や出産について知りたいことをどうやって調べたらいいのかわからない・・・
妊娠や子育ての言葉って勉強したことがないから全然わからない・・
書類の日本語がむずかしくてよくわからない・・・
こんな風に言葉の壁を感じている人がいるかもしれません。
妊娠したあとこんなにたくさん検診があるって知らなかった!
出産する病院を予約しないといけないって知らなかった!(私も知りませんでした)
日本では赤ちゃんに何を食べさせているのだろう?私の国ではこうなんだけど・・・
自分が育ってきた文化や環境の違いに戸惑っている人がいるかもしれません。
妊娠したら役所に行って母子手帳をもらうって知らなかった
役所の人がうちに来るって知らなかった(赤ちゃん訪問のこと)
母国との制度の違いに戸惑いを感じている人もいることでしょう。
この記事を読んでくださっているみなさんの中には、
外国人なんだから外国語にした方がいい
と思う方もいらっしゃると思います。
それには私も賛成です。多言語対応が叶えば、外国人のみなさんが得られる情報は多くなりますし、誤解することも減ると思います。
しかし、在留外国人の母語のバリエーションは非常に豊かです。その全ての言語に対応するのは、時間もかかりますし、コストもかかります。質の高い翻訳者を見つけることが叶わない言語もあることでしょう。
また、対応が必要な言語の数はずっと一定ではなく流動的なので、使わなくなったり新しく作ったりしないといけなくなる可能性も高いです。
日本語は日本での共通言語
意外に思うかもしれませんが、日本で生活をしている在留外国人のみなさんは、なんらかの形で日本語を学んでいる可能性が高いのです。
2017年の法務省の外国人住民調査によると、82.2%の人が日常会話レベル以上の日本語能力を有していると答えています。
日本語もコミュニケーションツールの1つになりえそうだと思いませんか?
日常会話レベル以上の日本語能力を有している、ということはデータからも読み取ることはできますが、私たち日本語母語話者が書く文章や話す言葉というのは、第二言語として日本語を使う人々には難しすぎる場合が多いです。私たちが字幕なしで、英語など外国語の映画を見ている時に難しいなと感じる気持ちと同じです。
やさしい日本語は、日本語を母語としない人にもわかるように、難しさをわかりやすい言葉に置き換えるなどの調整を加えた日本語です。
漢字には読めるようにふりがなをつけたり、単語の区切りがわかるようにスペースを入れたり、難しい言葉を避け、その人の理解できる言葉で伝えたり・・・
外国人をパートナーにもつ人たちは、自然な形で”やさしい日本語”を使っています。
オノヘレさんのお話(上画像をクリックするとオノヘレさんのメッセージページに遷移します)
田山さんのお話(写真をクリックすると、田山さんのメッセージページに遷移します)
田山さんは、私の大阪外大時代の先輩なのですが、田山さんからコメントを頂いた時に、
外国語で情報を手に入れることで、夫自身の理解は高まりますが、周り(日本人)とのコミュニケーションの壁はまだ残ったままです。
この言葉が強く印象に残りました。
外国語は、外国人の理解を促すために必要不可欠なものですが、この日本という国で暮らしていくために、日本という社会と繋がっていくために日本語もまた必要だということでした。
また、日常会話ではなく、妊娠・子育てに関する言葉は、その当事者や関係者にならないとなかなか知る機会がないものです。これは、日本人のママも同じように直面する問題です。私も妊娠するまで、子育てを始めるまで知らない言葉がたくさんありました。
スペイン語でする夫婦の会話はこれまで問題ありませんでしたが、スペイン語で子育てに関する用語がわからなくて苦労することがたくさんあります。抱っこ紐や離乳食、予防接種の名前などいろんなことがわからなくてとても困りました。
子育てを孤育てにさせないために
きずなメールのプロジェクトに関わる人は皆、この国で暮らす誰もが幸せに妊娠・出産を経て子育てをしてほしいと願っています。
妊娠・出産・子育ては人生の中でも大きなライフイベントです。
そして、現在のこの状況は、外国人の妊産婦さんをさらに孤立させてしまう可能性があります。
あなたを見ている人がいる
あなたを支えようとしている人がいる
見守ってくれる人がいる
そんな思いも一緒にきずなメールは、届けてくれています。
母国ではない地での出産や子育ての不安や孤独を防ぐために、このクラウドファウンディングをぜひ応援してください。
どうぞよろしくお願いいたします。
やさしいコミュニケーション協会
代表理事 黒田 友子