エピソード

【これがリアルな声!】アメリカ人夫の医療体験記 後編

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みなさん、こんにちは。
一般社団法人やさしいコミュニケーション協会の黒田です。

この記事は、日本語教師のめいかさんにアメリカ人の旦那さんの医療体験記を記事としてまとめていただいたものです。

前編はこちら

【これがリアルな声!】アメリカ人夫の医療体験記 前編
【これがリアルな声!】アメリカ人夫の医療体験記 前編

いよいよ後編です。

診察や薬局でのコミュニケーションにおいてどのようなところで難しさを感じられているのか、ぜひ読んでみてください!

診察

いよいよ診察です。
夫が病院受診で一番難しいと感じるのはここです。
時系列に、自分の症状を手短に話すのは日本人でも難しいと思います。
更に病気やケガの説明にはオノマトペがたくさん使われます。
「シクシクしますか」「ジンジンしますか」
これらのオノマトペは日本語学習歴が長い人でも難しいです。

例えば、最初は夫から医者に日本語で伝えてもらいます。
「熱があります。咳もあります。」と言うと医者もわかってくれますが、いつから?どこの辺り?どんな感じで痛い?と話が進むと、言葉に詰まってしまいます。

 「医者と英語で話さないの?」と思う方もいるかもしれませんが、夫の場合は“英語が話せる人は少ない”と思っているようです。
そのため「英語で話しましょうか?」と相手から言われない限り、日本語で話してみようと考えます。
更に外国語対応をしている病院は数も少ないため、その病院を探すより近くの病院で頑張って日本語を話す方を選びます。

このようなことをサポートするために、私は翻訳係としていつも付き添いをします。
最初は夫にも話してもらいますが、足りない部分は私が説明します。
するといつのまにか私と医者の間で話が終わってしまうこともあります。

めいか
めいか

薬の処方

ここまでの壁をやっと乗り越えて、最後に待っているのが薬の処方です。
薬剤師さんは丁寧に説明してくれるので助かるのですが、話しが長すぎると途中からわからなくなり、半分聞き流している様子です。

例えばこんなやりとりがありました。

薬剤師
薬剤師

本日は熱や咳の症状ですね。こちら本日のお薬になります。

夫

はい。

薬剤師
薬剤師

こちらは咳の症状を抑えるお薬です。一日2回、朝と晩、お食事後にお飲みください。副作用として頭痛やめまい、吐き気などの胃腸症状などがございますが、このような症状が出た場合はすぐに服用をおやめください。

夫

はい。(言葉も難しいし、文も長くてあまりわかっていないけど、きっと大丈夫だよね。とりあえず返事をしておかなくちゃ。)

薬剤師
薬剤師

次の薬は………。
お薬の説明は以上になりますが、何かご質問などございますか。

夫

大丈夫です。(話がわからないから、質問もできないなあ。)

夫は、

  • 薬の説明は後で紙でも見返すこともできるから、大切なところだけ簡潔に話してほしい
  • 薬の説明書も翻訳版ややさしい日本語版があれば嬉しい

と言っていました。

薬をもらう場面でも、日本語で質問文を考えて、その返事を理解するのはかなり負担があるなと感じます。
例えば「この痛み止めは何時間おきに飲めますか?」という質問をするとき、簡単に質問できそうに思えます。
ですが夫にとって「痛み止め」「~おき」「飲めます」などの語彙や文法を組み合わせて質問を考えるのは簡単ではありません。
そのため、よくある質問などは予め印刷して渡すなど、その時理解できなくても後で読み返せるものがあるといいなと思います。

めいか
めいか

【まとめ】外国人患者のリアルな声

アメリカ人の夫はこのようにいくつもの壁を乗り越えて病院を受診します。
そのため、時間があるときに一人でちょっと行ってくるということができません。
そのこともあって病院に行くまでに時間がかかったり、緊急ではないこと(歯の検診など)はつい先延ばしにしてしまいます。
また説明がわからなくても「迷惑だから」や「時間がかかってしまうから」と思っていまい、そのまま流してしまうことも多いのです。

今回この記事を書く機会を頂き、夫に「医療関係の人に一番言いたいことは?」と聞いてみました。
夫は「敬語で話さないでほしい。もっとやさしい日本語を使ってほしい。」と言っていました。やさしい日本語で患者さんに向き合うことは、その患者さんと家族を助けます。
夫の医療体験記を読んで、外国人患者さんが普段どんなポイントでどうして悩まれるのか、知っていただけたら嬉しいです。

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