エピソード

【市役所での体験記】英語を話したくない外国人?

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みなさん、こんにちは。
一般社団法人やさしいコミュニケーション協会の黒田です。

今回は、日本語教師の由利さん(弊協会で顧問もしてくださっています!)に市役所で遭遇した
体験を記事にまとめていただきました。
日本語で懸命にコミュニケーションをとろうとしている外国人に出会ったとき、どういう風に接すればいいのか、考えるヒントになれば嬉しいです!

市役所での体験記

みなさんこんにちは。初めまして。
私は日本語教師をしている由利と申します。

私が遭遇した、市役所の受付に来ていた外国人にまつわるエピソードを紹介したいと思います。

先日、娘のマイナンバーカードを受け取りに、市役所に行った時のこと。

私は特設会場の受付で、手続きに必要なものが揃っているか確認を受けたり、必要書類に記入するように指示を受けたりしていました。

受付脇の机で渡された書類の記入していると、一人の外国人がやってきました。
ブロンドヘアの男性です。
この男性はさっきまで私がいた受付に向かい、担当者から同じように確認や指示を受けている様子でした。

職業柄、どうしても聞き耳を立ててしまう私…。
どうやら受付の方が話しているのは日本語、この男性が話しているのも日本語のようです。

使っている文法や語彙から推測すると、中級前半ぐらいかなと思われました。
発話はゆっくりで、外国人が話す日本語を聞き慣れていない日本人にとって、発音はいわゆる”カタコト”な感じに聞こえていたかもしれません。

どうやらこの男性は担当者の話を誤って理解している様子で、私が説明を受けた時よりかなり時間がかかっているなあと感じられました。

私は声をかけるべきか迷っていました。
「迷惑かな?出しゃばりかな?」
しばらくウジウジしていると、この男性も席について書類の記入を始めました。
よし、今なら周りに人がいないし、ちょっと声かけてみようかな。と思ったその時!

「由利さーん。」
受け取りカウンターから私を呼ぶ声がしました。

早く行かなきゃ!でも声かけたい!
と若干パニクり急いでいた私は、英語でこの男性に話しかけました。
「Hi, I’m sorry to interrupt you, but…」
(もし何か困ったことがあったら、あそこにいるから声かけてください!お役に立てると思います!)」
確かそんなようなことを言ったと思います。

彼は少し驚いた様子でしたが、すぐに目を伏せ、
「ああ、今、大丈夫です。今まで大丈夫です。」
と日本語で、(日本語で!!)返事をしてくれました。

拍子抜けした私は苦笑いをして、そそくさとその場を離れました。
なんだかモヤモヤして、マンナンバーカード受け取り時の説明が全く耳に入らない状態です。

反省した点

親切のつもりで声をかけたけど、ちょっと迷惑そうな感じだったなあと、思いながら後悔したのは、私が英語で話しかけたことです。
だってこの男性は、この会場に来てからずっと日本語でコミュニケーションを取っていたんです。
どんなに難しい内容の会話でも、どんなに時間がかかっても、最後まで日本語だけでやり取りをしていたんです。

日本語で会話をしよう、という強い意志でここまでのやりとりを無事に終えてきたのに、突然英語で、しかも手伝いますよなんて申し出をされて、傷ついてしまったかもしれません。
頭に来たかもしれません。

例えば英語ペラペラの日本人が、海外の施設で日本語ができるスタッフを用意されたら、きっと「必要ないのに」って思いますよね。バカにされたとさえ感じる人もいるかもしれません。

日本語の授業では、たまらず英語になってしまう学習者に日本語を話すように注意をするのに、終始日本語を使っていたこの男性には英語で話しかけてしまうなんて、日本語教師としての自分にもがっかり、反省しました。

親切な気持ちで手伝いを申し出ることはとても良いことだと思いますが、相手は立派な大人です。
困って助けが必要なら、きっと自分からそう言っていたでしょう。

今の私がまた同じような状況に遭遇したら、遠くから優しく見守ります。
ヘルプサインが出ていないかどうか見逃さないようにしながら。

日本語でのコミュニケーションに困っていても、相手は大人です。
無意識のうちに子ども扱いしてしまうことがないよう、気をつけなければな、と強く反省したエピソードでした。

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