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AIの文章に「透かし」が入る時代に。大切なのは「判断」

やさコミュ事務局

はじめに

AIで文章を作ることが、すっかり身近になりました。
メール、お知らせや案内文、資料作りなど、日頃からAIと一緒に文章を作っている人も多いのではないでしょうか。
かくいう私も頼ることが増えてきました。

やさしい日本語への書き換えにAIを使っている方もいらっしゃるかもしれませんね。

私もよく使っているAIを開発しているAnthropic(アンソロピック)社から、こんなお知らせがありました。

2026年11月3日から、同社のAI「Claude(クロード)」の一部のモデルが作る文章に、「透かし」を入れる。

この記事では、

  • AIの「透かし」とは何か
  • 透かしでわかること、わからないこと
  • これからの時代に大切になる「判断」

について、考えてみます。

AIの「透かし」とは

「透かし」と聞くと、お札や写真に入っている、うっすらとした模様を思い浮かべるかもしれません。

でも、今回の透かしは目に見えません。
文字や記号が足されるわけでもありません。

AIが文章を作るときの言葉の選び方に、人には気づけない「くせ」を入れるしくみです。
文章の意味や読みやすさは変わりません。

背景には、ヨーロッパの「AI法」があります。
AIが作ったものを、あとから見分けられるようにすることが求められているのです。
2026年8月以降に出たClaudeのモデルにはすでに入っていて、それ以前のモデルにも広げていく、とのことです。

協会のやさしい日本語変換ツール「やさにちリライト+」も、AIにClaudeを使っています。
そのため、11月3日からは、やさにちリライト+で変換した文章にも透かしが入る見込みです。

透かしが入っても、変換結果の読みやすさや料金、使い方は変わりません。
透かしには、使った人の情報や、変換した文章の中身は含まれないということです。

透かしでわかること、わからないこと

Anthropic社の説明によると、透かしでわかるのは、

  • その文章に、Claudeが関わった可能性があること

です。

一方で、こんなことはわかりません。

  • AIが全部書いたのか、校正や要約だけに使ったのか
  • その文章の内容が正しいかどうか
  • 読む人にとって、ふさわしい表現かどうか

また、人が大きく書き直したり、ほかの文章とまぜたりすると、透かしは見つけにくくなるそうです。反対に、透かしが見つからなくても「AIを使っていない」という証明にはなりません。

つまり、透かしが教えてくれるのは「AIがかかわったかどうか」だけ。
透かしがあってもなくても、その文章を世に出してよいかどうかは、教えてくれません。

そうだとしたら、私たちは今後どのように文章と向き合えばいいのでしょうか。

大切なのは「誰が判断したか」

私は、AIを使うこと自体は、悪いことではないと考えています。

やさしい日本語は、私の考えでは、もっと気軽に日本中の人たちが使えるようになってほしい言葉です。
AIの力を借りることで、忙しい現場でも、やさしい日本語の文章を手に入れやすくなります。

やさにちリライト+に限りませんが、AIで文章を作ったり、それを使ったりするときにみなさんに、ひとつだけ大切にしてほしいことがあります。

最後は、人が確認して、判断すること。

  • 読む人に、本当に伝わるか
  • 大事な情報が、抜けていないか
  • その場面に合った言い方になっているか

これは、AIにはまだ任せられません。
現場を知っている人、読む人の顔が浮かぶ人にしか、できない仕事です。

そして、確認した結果「直さなくていい」となることも、もちろんあると思います。

それでも、「この人が読んで、これでいいと判断した」という事実には、大きな意味があります。

AIが当たり前になるほど、問われるのは「誰が書いたか」よりも、「誰が確認して、誰が責任を持ったか」になっていくのではないでしょうか。

「確認した人の名前」を入れられるようにしました

この考えから、やさしい日本語変換ツール「やさにちリライト+」では、PDFで出力するときに、確認した人の名前を入れられるようにしました。

PDFには「内容を確認しました」というチェック欄があります。
チェックを入れるときは、確認した人の名前が必要です。名前がないと、PDFを出力できません。
確認したPDFには、いちばん下に、こんな一行が入ります。

☑ 翻訳内容を確認済み | 確認者:山田太郎 | 2026年10月28日 09:08

誰が、いつ確認したのかが、ひと目でわかります。

反対に、名前を入れて、チェックを入れなかったときは「内容は未確認です」と入ります。確認していないことも、わかるようにしました。

使い方はかんたんです。
「PDF出力」の画面で、「担当者名」の欄に名前を書いて、「内容を確認しました」にチェックを入れ、「PDF出力する」を押すだけです。

多言語版のPDFでは、もとの文章、やさしい日本語、翻訳、逆翻訳(翻訳をもう一度日本語にもどしたもの)が、1枚にまとめて入ります。

逆翻訳があるので、翻訳先の言語が読めなくても、内容が合っているかを日本語で確かめられます。

多言語版PDFの1ページ目。
もとの文章と、やさしい日本語が入ります(文章はサンプルです)

 

いちばん下に「誰が・いつ確認したか」が入ります

この機能は、無料おためしプランを含む、すべてのプランで使えます(無料おためしプランのPDF出力は月3回まで)。

※ やさしい日本語は、通訳や翻訳の代わりではありません。命や健康、お金にかかわる大事な場面では、通訳や、その人がわかる言語への翻訳とあわせて使ってください。

おわりに

AIの文章に透かしが入るようになっても、私たちがやることは変わりません。

AIの力を借りれば、やさしい日本語の文章を、前よりずっと手軽に作れるようになりました。
そして最後は、あなたの目で確認して、届けてください。

やさにちリライト+には、ずっと無料で使える「無料おためし」プランがあります。クレジットカードの登録はいりません。ぜひ使ってみてくださいね。

この記事を書いた人
黒田友子
黒田友子
一般社団法人やさしいコミュニケーション協会 代表理事
Profile
大阪外国語大学外国語学部国際文化学科日本語専攻(ビルマ語専攻語)卒業|現在は、「誰もが理解しやすく、行動できる日本語」の重要性を広めるため、国立国際医療研究センターとの共同研究や、厚生労働省・東京都等の研修講師を務めるなど、やさしい日本語の普及と質の向上に力を注いでいる。
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