【これがリアルな声!】アメリカ人夫の医療体験記 前編
みなさん、こんにちは。
一般社団法人やさしいコミュニケーション協会の黒田です。
今回の記事を、日本語教師のめいかさんに記事にまとめていただきました。
アメリカ人の旦那さんが病院へ行くときや病院へ行った時の困難をぜひ知っていただけたらと思います。
外国人患者さんのリアルな声をお読みいただき、多言語・多文化対応について考えるヒントになれば嬉しいです!
アメリカ人夫の医療体験記
みなさんこんにちは。初めまして。
私は日本語教師をしているめいかと申します。
夫はアメリカ人で、小さい娘が一人います。
私は普段から、やさしい日本語がもっと普及してほしいと思っている者の一人です。
そして特にそう思うのが医療の場面です。
夫は8年前に日本に来て、日本で仕事をしながら毎日生活をしています。
母語は英語です。
日本語はずっと勉強していて、生活の中で必要なやりとり(レストランで注文、スーパーのレジ、同僚との軽い会話など)は問題ありません。
そんな夫ですが、やはり難しいのは役所手続きなどの専門的な会話。
中でも特に難しいのが病院受診です。
病院の予約から始まり、受付、診察、薬をもらうまで、越えなければならない壁がいくつもあります。
今回は、そんな夫をそばで見てきた私が見た「アメリカ人夫の医療体験記」です。
予約の電話
インターネット予約ができたり予約不要の病院もあったりしますが、コロナ禍になってから事前に連絡が必要という病院も増えました。
夫が一番嫌いなのは電話で日本語を話すことです。
電話越しだと声がはっきり聞こえなかったり、相手の表情が見えなかったりして、難しさが格段にアップします。
例えばこんな例です。
はい、○○医院です。
あの、風邪をひきました。行ってもいいですか?
どんな症状ですか?
症状?症状は何ですか?
熱が出たとか、咳がでるとか、どんな症状がありますか。
ああ。熱があります。咳もあります。
風邪の症状がある人は外来で受付ができないので予約をしてください。予約は~~~
???? あの、妻に話してもいいですか?
えっ。ああ、はい。
だいたいこのような流れになるので、最初から私が代わりに電話をしています。体調が悪いときに、電話越しに日本語でこれをするのはかなり大変だろうなといつも思います。
受付・問診票
次の関門は受付です。普段の受付なら問題ありませんが、大変だったのは転職直後で新しい保険証がまだ届いていないときでした。
実際のやりとりはこうです。
本日保険証はお持ちですか?
今、転職しました。保険証がありません。
保険証がないと本日は自費診療になりますがよろしいですか?
はい。
新しい保険証はいつ届くかわかりますか?
ちょっと、わかりません。
では、新しい保険証が届き次第受付にいらしてください。ご返金の手続きに領収書と診察明細書が必要になるので必ずお持ちください。
わかりました。
この会話、一見大丈夫そうに見えますが、夫にはこう聞こえています。
……保険証はお持ちですか?
今、転職しました。保険証がありません。(妻がこう言うように言っていたな)
保険証がない………よろしいですか?
はい。(よくわからないけど、話が進まないからはいと言っておこう)
新しい保険証はいつ……わかりますか?
ちょっと、わかりません。(いつ?と聞こえたから新しい保険証がいつ来るか聞いているんだろう。)
新しい保険証が………ください。……領収書……必要……必ず……ください。
わかりました。(領収書と言っていたな。多分返金のことだろう。後で妻に聞いてみよう)
いつ頃届くのか、届いたらどうするのか、今日の会計はどうするのか…。
たくさんの専門用語を聞きながら理解するのは難しく、私も横で一緒に話を聞きながら、「これを100%理解できる外国の患者さんはどのくらいいるだろう。」と思って聞いていました。
それから日本語の問診票です。
問診票には難しい病気の名前や症状(動悸やめまいなど)がたくさん載っていますよね。
自分で書こうとすると、これらのことばの意味を一つ一つ調べながら書かなければなりません。しかも「めまい」ならひらがななのですぐ調べられますが、「動悸」は漢字なので読み方がわからなければ調べることもできません。
Googleレンズなどを使って翻訳することもできますが、自分で症状を記入するときは使えないので大変です。
(時間がかかりすぎて診察に呼ばれてしまったこともあります。)
夫によれば、“ちゃんとした”英語の問診票があったら嬉しいとのことでした。
“ちゃんとした”というのは“正確な英語の”という意味です。
時々、意味がわからない英語の翻訳があるそうです。
特に病院のような場面では、正確な英語の問診票でないと、不安に思いながら記入することになります。
やさコミュの黒田です。
ここまでお読みいただいていかがでしたでしょうか?
予約を取るときは、オンラインではなく電話をする機会がコロナ禍では結構増えましたよね。
音声だけでコミュニケーションをするのは外国人患者にとってハードルの高いものです。
問診票を書くのも翻訳したり、日本語の漢字の読み方を調べたり、することがたくさんあることがわかりますね!
どのような気づきがありましたか?
続きはこちら↓