エピソード

【エピソード】優先席でのやさしいコミュニケーション

やさコミュ事務局

みなさん、お久しぶりです。

やさしいコミュニケーション協会の黒田友子です。

少しずつになりますが、やさしい日本語(医療)研修を受けた受講者から寄せられた、やさしい日本語ややさしいコミュニケーションに関するお話をみなさんと共有していきたいと思います。

今回のタイトルは、「優先席でのやさしいコミュニケーション」です。

優先席でのやさしいコミュニケーション

満員電車の中、たまたま優先席の前に立っていた。

優先席には、南アジア出身と思しきの若いカップルが座っていた。

私が彼らの席の前に立つと、女の子がソワソワし始めて、立ち上がって、優先席の表示をしばらくじーっと見始めた。

そこには、やさにちには欠かせないピクトグラムの表示がある、

女の子は寝ている彼氏の身体を揺さぶり、なにやら何か話しかけている。

しばらくすると、立ち上がって、私を見るなりわたしに向かって手をピクトグラムに手を差し出して、

「どうでしょう?」

(え?健全なわたしに、席譲る???)

(どうでしょうって、それクイズ?)

彼女の、その手の坂にある優先席の表示は左から、

杖、松葉杖、心臓、乳幼児連れ、妊婦、赤いタグの所持

この中で当てはまるとしたら、見るからに妊婦か?

確かにただでさえ、体が肥えている上に、ダウンを着て、なおかつマフラーを中に入れ込み、セーターの裾をおなかのまわりに重ねていたため、更に膨れていたのは確か。

席を譲ろうとしたようであったが、私はとっさに妊婦ではありませんと言いたいところを、黙ってニッコリ首を振った。

私は妊婦ではありません。

私は妊娠していません、こちらの方がいいか。

おなかに赤ちゃんはいません。

電車の中でひとり悶々とする。

おそらく、自分が優先席に座ってていいのか考えて、寝ている彼氏に言ったけど、別にいいんだよと彼氏にあしられたが、どうも良心が傷みとった行動だろう。

そして、どうぞ、と言うところを、どうでしょう、と言ったのではないかと推測した。

少し困惑したが、席を譲ろうとした、心優しい若者よ、今時にしては素晴らしい。

今朝のやさにちでした。

(イラスト:©️AN)

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いかがでしたか?

とてもほっこりするエピソードでしたね。

「どうでしょう」と突然クイズを出されてしまうというシチュエーション。

私もびっくりしてしまいそうですが、にっこり笑って首を振ったということで、
とてもほのぼのしたやりとりだなぁと感じました。

外国人に対するイメージは様々ですが、この女性のように、日本の電車内でのルールを守ろうという姿勢やサポートが必要な人の手助けをするという人としての優しさをもつ人もいらっしゃいます。

目の前にいる人がどんな人なのか、勝手な思い込みで判断しないようにしたいですね。

素敵なエピソードをありがとうございました。

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