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【やさしい日本語変換ツール】おすすめのツールと失敗しない使い方

やさコミュ事務局

やさしい日本語への変換ツール、どれを選べばいいか迷っていませんか?

変換ツールには「一括変換型」「辞書型」「生成AI型」の3つのタイプがあり、それぞれ得意なことが違います。

この記事では、代表的な5つのツール・AIをタイプ別に紹介したうえで、生成AIでの変換を実際に検証しました。

さらに、どのツールでも起こりうる「危険な誤変換」のパターンと、失敗しないためのチェックポイントを、やさしい日本語の専門家が解説します。

やさしい日本語変換ツールの3つのタイプ

やさしい日本語変換ツールとは、行政文書などの難しい日本語を、外国人や日本語に不慣れな人にも伝わる「やさしい日本語」に書き換えるためのツールです。まずは代表的な5つを、タイプ別に紹介します。

一括変換型(専用ツール)

文章を入力すると、全体をやさしい日本語に書き換えてくれるタイプです。ルビ(ふりがな)や読み上げなど、やさしい日本語特有の機能を備えているのが特徴です

伝えるウェブ(アルファサード株式会社)

ウェブサイトへの「やさしい日本語変換」「ふりがな」「読み上げ」ボタンの実装と、やさしい日本語エディタを提供する老舗サービス。自治体サイトへの導入実績が多数あります。

やさにちリライト+(当協会)

文章を貼り付けて変換するタイプ。2つの変換案の提示、分かち書き・ルビ(色選択可)、多言語翻訳、音声読み上げ、PDF出力に対応しています。

辞書型(言い換え候補の提示)

難しい単語を選ぶと、言い換え候補を提示してくれるタイプです。

やさしい日本語書き換えツール(出入国在留管理庁)

外国人生活支援ポータルサイト内で提供されているチャット形式のツール。「支給する」→「渡す、支払う、出す」のように単語ごとの言い換え候補が表示されます。

名前は「書き換えツール」ですが、文章全体を書き換えるのではなく、語彙のヒントをもとに自分で組み立てる、やさしい日本語を考えるのは、「人」が主役の支援ツールです。

生成AI型(ChatGPT・Gemini)

「やさしい日本語にしてください」と指示して書き換えてもらう方法です。専用ツールではありませんが自然な文章を生成でき、指示(プロンプト)の工夫次第で結果が大きく変わります。

生成AIで実際に変換してみた

給付金の案内でよく見かける、次のような行政文書を、ChatGPTとGeminiに「やさしい日本語にしてください」と依頼してみました。

※検証は2026年8月時点のものです。AIやツールは日々更新されています。

本給付金の支給を希望される方は、申請書に必要事項をご記入のうえ、本人確認書類の写しを添付し、令和8年8月31日までに窓口へご持参いただくか、郵送にてご提出ください。なお、期限を過ぎた場合は、いかなる理由があっても受け付けられませんので、ご了承ください。

ChatGPTの変換結果

ChatGPTで行政文書をやさしい日本語に変換した結果

文章としては自然で読みやすい書き換えでした。一方で、注目したいポイントが2つあります。

1つめは、本人確認書類の例として「マイナンバーカードや運転免許証など」と、原文にない情報を補足した点。
例示があること自体は読み手に親切ですが、実際に必要な書類が案内と違っていたら誤案内になりますし、外国人向けならまず「在留カード」を挙げたいところです。人の目による確認は不可欠です。

2つめは、「令和8年」が和暦のまま残った点。
和暦がわからない読者への配慮としては、西暦への変換がほしいところでした。

Geminiの変換結果

Geminiで行政文書をやさしい日本語に変換した結果

「いつまでに?」「どこに?」と見出しで構造化する工夫があり、本人確認書類の例も「在留カード、マイナンバーカードなど」と在留カードが先に挙げられていました。和暦も西暦に変換されています。

一方、ふりがなは「お金(かね)」のような横ルビで、すべての漢字につくためやや冗長です。(横ルビしか使用できない媒体ではそう感じやすくなります。他のルビの付け方ができる媒体では、横ルビ以外を推奨します)また「役所の窓口」と、原文にない情報の追加も見られました(給付金の窓口が役所とは限りません)。

やさにちリライト+での変換例

同じ文章を、当協会のやさにちリライト+で変換すると、次のようになりました。

やさにちリライト+でやさしい日本語に変換した画面
やさしい日本語①

お金をもらいたい人は、申請書に名前などを書いてください。本人とわかる書類のコピーも一緒につけてください。窓口に持ってくるか、郵便で送ってください。2026年8月31日までにしてください。この日より遅いと受け付けません。

やさしい日本語②

この給付金をもらいたい方は、申請書に必要なことを書いてください。本人確認の書類のコピーもつけてください。2026年8月31日までに窓口に持ってくるか、郵便で送ってください。期限を過ぎると、どんな理由があっても受け付けられませんので、ご注意ください。

「もらいたい人」と受け取る側の視点で書き換えられ、和暦は西暦に変換されています。本人確認という言葉にはまだ難しさを感じますが(改善の余地ありですね…)、文章の短さや使用されている文章は、生成AIと比べてもシンプルだと思います。(生成AIで使用されているどんなに〜もという文法はやや難しいので、やさしい日本語②では使用されていますが、やさしい日本語①では使用されていません。ここは私の意図通りに出力されており、開発したものとして嬉しいところです)

やさにちリライト+では、分かち書きとルビの付与、提案されたやさしい日本語からの多言語翻訳(20言語)、音声読み上げにも対応しています。


※自社ツールのため、評価はぜひ皆さんの目でも確かめてください。

変換ツールで起こりがちな3つの危険な誤変換

タイプを問わず、変換ツールの出力には注意すべき共通のパターンがあります。
ここでは、実際の運用でよく問題になる3つを、例文で解説します。

視点の逆転:「もらう人」が「払う人」に

単語ごとの言い換えを積み重ねるタイプの変換では、語義としては正しくても、文全体の意味がひっくり返ることがあります。

たとえば「支給する」の言い換え候補は、辞書的には「渡す、支払う、出す」です。
これを機械的に当てはめると、

支援金の支給を希望される方は… → 支援金を 払いたい人 は…

のように、お金をもらう人が払う人に逆転してしまうことがありえます。
「誰が誰に」という文の構造まで考慮しないと起こる、典型的なエラーです。
しかも出力された日本語は一見なめらかなので、チェックする側も気づきにくいのが怖いところです。

原文にない情報の追加

生成AIに多いパターンです。
「本人確認書類(マイナンバーカードなど)」のような補足は親切に見えますが、元の案内に書かれていない情報は、事実と違えば誤案内になります。
特に行政・医療の文書では、勝手な補足がトラブルのもとになりかねません。

読者想定のズレ

「誰のためにやさしくするのか」がツール任せになると、日本人向けの定番例(運転免許証など)が優先されたり、和暦がそのまま残ったりします。
外国人向けなら在留カードの例示や西暦表記など、想定読者に合わせた調整が必要です。

ツールの選び方と「人のチェック」の重要性

タイプ別の向き・不向き

一括変換型辞書型生成AI型
向いている場面ウェブサイト・文書の変換を効率化したい自分で書きながら語彙のヒントがほしい柔軟な書き換えを試したい
ルビ・分かち書き対応しているツールが多い−(対応していないものがあります)指示すれば可(出力形式は不安定)
注意点出力が流暢なため誤変換に気づきにくい候補にない語は自分でやさしい日本語を考える必要がある情報の追加・和暦の残留など

出力された文章を使う前にチェックしよう!:3つのチェックポイント

どのツールを使う場合も、出力をそのまま使わず、次の3点を確認してください。

  1. 意味が変わっていないか:「もらう人」が「払う人」になるような逆転がないか
  2. 原文にない情報が追加されていないか:親切な補足に見えても、事実確認が必要
  3. 想定読者に合っているか:在留カードの例示、和暦→西暦など、「誰のためのやさしさか」が反映されているか

つまり、ツールがどれだけ進化しても、最後に判断するのは人間です。
当協会では「AIが書く・人間が判断する」を基本の考え方として、ツールと人のチェックを組み合わせることをおすすめしています。

まとめ

  • 変換ツールには「一括変換型」「辞書型」「生成AI型」の3タイプがある
  • 生成AIは自然な文章が得意な一方、情報の追加や和暦の残留に注意
  • 視点の逆転・勝手な補足・読者想定のズレは、どのツールでも起こりうる
  • 変換結果は必ず人がチェックしてから使う

やさにちリライト+は、無料でお試しいただけます。
この記事の例文をご自身で変換して、結果を見比べてみるのもおすすめです。

この記事を書いた人

黒田友子
黒田友子
一般社団法人やさしいコミュニケーション協会 代表理事
Profile
大阪外国語外国語学部国際文化学科日本語専攻(ビルマ語専攻語)卒業|現在は、「誰もが理解しやすく、行動できる日本語」の重要性を広めるため、国立国際医療研究センターとの共同研究や、厚生労働省・東京都等の研修講師を務めるなど、やさしい日本語の普及と質の向上に力を注いでいる。
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