【まとめ】外国にルーツを持つ子どもたちの支援に役立つウェブサイト
「外国にルーツを持つ子どもたち」とは
外国にルーツを持つ子どもたち
外国にルーツを持つ子どもたちとは、国籍を問わず、両親または父親か母親が外国出身であるという属性を持つ子どもたちを指します。
両親が外国人、お父さんが外国人でお母さんが日本人、お母さんが外国人でお父さんが日本人の子どもたちのことです。
国籍を問わずと記載したのは、外国にルーツを持つ子どもたちは日本国籍を持つ子供もいますし、外国籍の子供もいるからです。
日本語での会話が上手だから、学習も問題ないという思い込みに気をつけて
外国にルーツを持つ子どもたちについて語るときに、「会話ができているから、日本語能力は問題ない」と捉えてしまう先生がいることを取り上げることがあります。
なぜ取り上げるのかというと、会話をするために必要な日本語能力と、日本語で勉強するために必要な日本語能力は区別して習得できているかを観察されるべきだと私は考えているからです。
会話をはじめとした生活するための言語能力を生活言語能力または伝達言語能力(BICS:Basic Interpersonal Communicative Skills)と呼んでいます。こちらの言語能力の習得年数は、2〜3年と言われています。
そして、学校で教科学習をするための言語能力を学習言語能力(CALP:Cognitive Academic Language Proficiency)と呼んでいます。この言語能力の獲得には、5〜7年を要すると言われています。
会話ができているということは、学習言語能力が育っている、獲得できていることと同じではありません。
例えば、小学校4年生の外国にルーツを持つお子さんは、日本語の助数詞を体系的に覚えていなかったりします。鉛筆やペン、ストローなど長くて細いものを「本」という言葉を使って数えることを知らなかったりします。「本」の読み方も数字によって変わっていきます。
他にも、日本語の特殊拍として、「促音」があります。促音というのは、小さな「つ」のことです。私たち日本語母語話者は、小さな「つ」に音がなくても、文字があることを認知し、「っ」を書くことができます。外国にルーツを持つ子どもたちは、そういったところにも躓きがあることがあります。(もちろん、日本人の子供達にもあるのですが)日本語の言語的な特徴が、理解を阻んでいる可能性がある、ということを知ってもらえたらと思って例を書きました。
国語的な問題以外にも、小学校1年生の算数に出てくる、引き算の「ひく」という言葉も、生活言語能力を獲得するときには、ドアを引くのような意味で覚えているでしょう。算数における「ひく」という概念や意味を理解しているかは、確認しないとわかりません。
私たち日本語母語話者は「わかる」ことが当たり前で、彼らの困難や躓きを発見しにくいのです。
外国にルーツを持つ子供たちとやさしい日本語
外国にルーツを持つ子どもたちの中には、流暢に話せる子供もいるので、「やさしい日本語は必要ない」と感じている支援者の方もいらっしゃると思います。確かに、会話をするときにやさしい日本語が必要ないということもあるでしょう。
外国にルーツを持つ子供達に対して、やさしい日本語ができることがあるとしたら、それは、「理解を橋渡しするための言葉」として利用価値があると考えています。
子供たちが理解していないことを、わかりやすい言葉で伝えて、「わかる!」や「わかった!」に橋渡しする。
このわかりやすい言葉を使うときに、やさしい日本語の考え方を取り入れると、子供たちは理解しやすいと思います。
短くて簡単ではっきりと伝えることは、子供たちの理解を促します。ポジティブな反応もたくさん言葉がけするといいでしょう。
何かを学ぶときは、話していることが正しいのか、書いていることが正しいのか、先生の目が気になる子供は多いです。
「それでいいよ」「とてもいいです!」「合っています」「上手にかけています!」などなど、短くてわかりやすいポジティブな声がけは、子供たちの学習に対するモチベーションの向上につながるはずです。そんなときにもぜひ、やさしい日本語を使ってもらえたらうれしいです。
支援に役立つウェブサイトまとめ
文部科学省 外国人児童生徒等教育に関する動画コンテンツについて https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003_00004.htm
外国につながる子供向けの教材が知りたい! (文科省ウェブサイト)https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00663.html
かすたねっと(児童・生徒の学習を支援する情報検索サイト)
https://casta-net.mext.go.jp/
CLARINET(在外教育、帰国・外国人児童生徒教育等に関するホームページ) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/main7_a2.htm
国際交流基金 ひきだすにほんご
気持ちが伝わるオノマトペ
https://www.hikidasu.jpf.go.jp/jp/corner/onomatopoeia/
ひまわり(2024.6.26追記)
外国人児童生徒等に対する日本語教師初任研修の講義を見ることができます。
外国にルーツを持つ子供達への日本語教育について体系的に学ぶことができます。
https://himawari-jle.com/
YSCグローバルスクール
6歳以上の外国にルーツを持つ子どもへの日本語指導・教科指導(対面・オンライン)
https://www.kodomo-nihongo.com/index.html
メタノイア
子どもむけの日本語教室、母語教育、プレスクール、各種相談
https://metanoia.or.jp/
キッズドア ことこと
学校生活に関することばの解説や情報提供をしているWebサイト
https://koto-koto.jp/
外国人の子どものための勉強会(千葉県松戸市)
https://www.esco-matsudo.org/
かながわ国際交流財団
保育園・幼稚園での外国につながる園児・保護者受け入れガイドブック
https://www.kifjp.org/child/enji-hogosha-uke-gb
参考になれば幸いです!